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楠本未来

歌うことと伝えること♬


オペラ歌手の歌っている際の、声帯の位置、それぞれの母音における舌の形、Vokaltrakt(声道)の空き具合がよく分かる。こういうの長年見たかった。

歌に必要な解剖学をドイツで初めて勉強し、レッスンもドイツ語で受けていたので、Vokaltraktの日本語の意味を知らなかった。帰国してからも、生徒たちにもどうしても分からない単語は、説明した上でドイツ語で教えている。でも、Wikipediaより以下の説明が簡潔でとても分かりやすかったので、嬉しかった。

《声道》

声道は、人間の、そして、音が丈夫な源でとても出される動物の空洞です(哺乳類の喉頭;鳥の鳴管)濾過します。

一人一人にどのような視点からこの映像を見たか聞くのが楽しい。まだレッスン始めたばかりの生徒の場合、どこをどのように見たらいいのか分からないという素直な感想。その通りだと思った。もちろん一緒に見て説明。

自分が身体で感じている事を、人に噛み砕いて相手の理解する方法で伝えるということは、だいたい分かっている程度では出来ない。ドイツ語を聞いて内容を分かっているつもりになっているのに、日本語に訳せないと本当は分かっていないのと似ている。

結果、歌っているとき自分は何を感じているのか、自分は本当に出来ているのか、本当に理解しているのかと自分を見つめ直すことになる。それを通して教え方について再発見があったり、自分の歌の改善点が見つかったり。

これを繰り返しながら互いに成長していく関係が、師弟関係だとするなら、とても素敵なものだと思う。

時々、ドイツの自分の師匠と電話やチャットで話す。「これについて未来はどう思う?」と聞かれる事もあるし、「最近こういう事を勉強して良かったから、この本を読んでみたら?」とかアドバイスを頂いたりする。

昔テクニックを叩き上げていた時は絶対服従、なんとしてもあなたについて行く!精神で私は必死。先生も必死になってくれた。でも今は感覚が違う。自身の生き方を通して私に大切なものを伝え続けてくれる彼女は、やっぱり「先生」ではなく「師匠」だと思う。

日常生活の中で、しんどいなあ!なんて感謝の気持ちを忘れてしまいそうになる時、絶対妥協を許さない彼女の言葉が脳裏に、、「未来は本当に歌い手だ。私の一番弟子に誇りを持っている。」 どんな時も、コンサートに来てくださったお客さんに、生徒、学生たちに、そしてまず自分の心に誠実でいたいとエネルギーに。

将来、自分の生徒に「あなたの事を誇りに思う。」と言える日が来たらいいな。


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